CAPSTONEプログラムでは現在およそ300機の小型機が運航されていますが、その中で1機だけヘリコプタがあります。我が国では小型機の約40%がヘリコプタですが(飛行機が1200機程度、ヘリコプタが800機程度)、アラスカは土地が広く移動距離が長いことや滑走路がなくても湖等で離着陸できる水上機が普及していることなどの理由により、ヘリコプタはあまり使われていないようです。この唯一のヘリコプタは、アラスカ州のベセルという町を中心に、野生動物の観察や測量といった学術調査の目的のために研究者を現地に運ぶために使われることが多いそうです。
DREAMSで開発される技術をヘリコプタに適用する際の利点や問題点等を調査するために、このヘリコプタに搭乗してCAPSTONE対応アビオニクスの運用評価を行うとともに、パイロットや運航会社の方にインタビューを行ってきました。
飛行試験では、まずベセル空港から離陸して約50km離れた小さい山まで低高度で飛行し、この間に地形情報、気象情報、他機の位置情報等の表示機能について評価を行いました。
また、山の裏側に回り込み、さらに高度を下げてデータリンクの受信確認を実施しました。
その後、GPSを用いたRNAV経路を飛行してベセル空港まで帰還しました。
飛行機(固定翼機)は、飛行場間を結ぶ定められた経路を飛ぶことが多いですが、ヘリコプタはミッションの要求によって普段行かないような不慣れな場所を飛行することがあります。このような場合には特に地形情報、気象情報、他機情報等が表示されることが安全性向上の観点から非常に有効であることが確認されました。
また、ヘリコプタは低高度を飛行する機会が多いため、運航会社と機体との連絡に用いる航空無線の電波が届かない場合があります。このような時にも、データリンクを使ったシステムによって運航会社から機体の飛行状況が把握できるため、運航管理を効率よく行うことができます。また、万一の事故の際にも迅速な対応が可能になる等、パイロット、運航会社の双方にとって導入のメリットは大きいようでした。
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