宇宙航空研究開発機構

UATデータ取得/GPS計測 CAPSTONE@アラスカ

今日は見事なまでの快晴ですが、気温はぐっと下がりました。この1週間で急速に季節が変わってきている感じで、昨晩降った雨が機体の上で凍り付いていました。今日は土曜日ですが、スケジュールの遅れを取り戻すためにフライトを実施することになりました。

ナヴァホは屋外に駐機してあったので、雨粒が翼の上で凍り付いていました。写真のつぶつぶは全部氷です。このように翼に氷がついてしまうと飛行機は飛べないので、今日はとりあえず気温が上がって氷が溶けるまで待機です。

機体に氷がつくと、例えば氷がエンジンに吸い込まれて、エンジンが正常に動作できなくなることがあります。特に翼に氷がついてしまうと、氷のせいで空気の流れが乱されて揚力(飛行機が飛ぶための力)が減少し、飛ぶことが困難になってしまい、非常に危険な状態になってしまいます。

昨晩は、街中では雨でしたが、山間部では雪になっていたようで、このように空港から見える山々が白く雪化粧されていました。いかにも「アラスカ」という感じの景色です。

今朝は一気に9人帰国してしまい、以降は総勢8人で飛行実験をする予定です。実験内容はこれまでと同じく、実証機のボナンザとチャータ機のナヴァホで機体間のUATデータリンク評価のフライトを行います。また、今回から新たにGPS受信状況についての調査を実施することになりました。機首方位や姿勢の条件によって、GPSの受信状況がどのように変化するかを調べることが目的です。

朝、現地パイロットのPatrickさんが突然、「今日は天気がいいので、少し足を伸ばしてチェネガ湾(Chenega Bay)まで行こう。きっといい写真が撮れるぞ」と言ってきました。Patrickさんは突然こういう提案をして、しばしば皆を驚かせてくれます。結局のところチェネガ湾まで行くことになり、往路で写真撮影、UATデータリンク評価(一部)、GPS受信状況評価を実施しました。チェネガ湾の周辺には氷河もあり、このように美しいところでした。

チェネガ湾の空港に近づき、最初にボナンザが、その後に続いてナヴァホがチェネガ湾の空港に着陸することになりました。しかし、すぐ後ろにいたはずのナヴァホの姿がなかなか見えません。しばらくして、といってもおそらく数分後ですが、やっとナヴァホが空港に到着しました。着陸後にナヴァホのクルーに聞いてみると、空港に到着する直前に海を泳ぐ鯨の姿が見えたので、しばらく上空を旋回していたのだそうです。あまりに遠すぎたために写真には撮れなかったそうですが。

飛行番号:FLT32
飛行時間:
 JAXA実証機(N67933) 13:50-15:25(1+35)
 チャータ機(N888YA) 13:50-15:35(1+45)
飛行空域:Merrill Field Airport-Chenega Bay Airport

飛行番号:FLT33
飛行時間:
 JAXA実証機(N67933) 16:10-17:45(1+35)
 チャータ機(N888YA) 16:20-17:55(1+35)
飛行空域:Chenega Bay Airport - Merrill Field Airport



機体間のデータリンク評価のフライトでは2機の位置関係が非常に重要になります。今回の実験では両機とも時速300km位の速さで飛んでいたのですが、その速度でお互いの位置をタイミングよくそろえるのは並大抵のことではありません。しかしPatrickさんとSkipさん(ナヴァホの機長)のコンビネーションはぴったりで、ほぼ計画通りの飛行をしてくれました。

ボナンザの右後方窓から見えるナヴァホ。本当に、手を伸ばせば届きそうです。さらにメリルフィールド空港へ戻る途中には、編隊飛行まで見せてくれました。手を伸ばせば相手機に触れることが出来るのではないか?という位にまで近づいて飛んでいるのです。これには正直驚きました。

これでUATデータリンク評価の実験は終了です。来週はベセルへ移動し、GBT(7/21レポート参照)の評価フライトを実施する予定です。

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