災害・危機管理対応統合運用システム(D-NET3)

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2020年10月22日

有人機とドローンの連携に係る実証実験を愛媛県西宇和郡伊方町で実施


災害時における消防防災ヘリコプター(有人機)とドローンとの連携を効率的に実現する機能の開発状況を確認するため、協定を締結している愛媛県と共同で実証実験を実施しました。

近年では有人機だけではなく、ドローンと呼ばれる無人機も災害対応活動に大きな役割を果たしています。その一方で有人機と無人機が同じ空域で両立して活動するための技術や手順などについてはまだ確立されていない状況です。令和2年7月豪雨においても、被災地内の同じ空域を有人機とドローンが活動する状況が発生し、飛行計画の調整や情報伝達に課題があることが判明しました。ドローンの運用数が増加傾向にある社会情勢を踏まえると、有人機とドローンの間で迅速な情報共有、通信する技術の必要性が高くなっていると言えます。
今回の実証実験では、残念ながら天候不良により消防防災ヘリは飛行できませんでしたが、実際のドローン飛行経路の設定から離陸、任務実施、着陸までの一連の流れの中で、飛行中のドローンに対しJAXAで研究開発を進めている「D-NET」システムから(消防防災ヘリの飛行経路との干渉を避けるための)退避リクエストを送信。ドローンの飛行の状況から帰還までを確認でき、社会実装に大きく近づく結果を得ることができました。
今後は、災害時に実際に活動する航空隊の方々から、操作性や視認性などの使用感におけるフィードバックに応えるなど、より使いやすいシステムとなるよう研究開発を進めます。

愛媛県 県民環境部 防災局 原子力安全対策課 原子力防災グループ
主任 宮尾 武一郎氏のコメント

主任 宮尾 武一郎氏

今後、災害が起こった際には有人機だけでなく、ドローンの現場活用の増加が見込まれており、有事に備えた有人機と無人機の空域の棲み分け、連携を含めたD-NET及びドローン運航管理システムの改良 は必要不可欠です。こうした状況の中、今回の実証実験によって、有人機・ドローン相互の位置情報の把握、退避リクエストによるドローンの基地への帰還に係る有効性を確認できたことは、大変意義があったと考えております。

写真左から、JAXA航空技術部門 次世代航空イノベーションハブ長/伊藤 健、愛媛県 県民環境部 防災局 原子力安全対策課 原子力防災グループ 主任/宮尾 武一郎氏、JAXA航空技術部門 災害対応航空技術チーム 主幹研究開発員/小林啓二