本日から大樹町での飛行実験が始まりました。MuPAL-εにとって、約2年ぶりの大樹町です。この間に、以前は三陸にあった大気球による観測設備が大樹町に移設され、「大樹航空宇宙実験場」と呼ばれるようになっています。
今回の大樹町飛行実験では、三つの実験が行われました。三つとも、災害時の救援活動にヘリコプタをより有効に活用するための実験です。一つ目は、無線LANを用いた通信実験です。
昨年度は、MuPAL-εとボナンザを使って航空機同士で無線LANによる通信実験を実施しました(MuPAL-εとボナンザを使った無線LANによる航空機間通信実験)。今回は、地上とヘリコプタの間で通信を行います。
無線LANのアンテナは、1辺10cm程度の正方形のものを使っています。指向性を持っているので、機体の方向に向けられるように上下左右の角度を調整できるように取り付けられています。
実験の結果、約16kmの距離で500Kbps程度の実効速度で通信できることが確認できました。7km以内の距離では5,000Kbps(5Mbps)での通信も可能でした。
無線LANの使い方の一つとして、災害時に地上で救援活動を行う隊員とヘリコプタの間でデータの送受信を行うことが考えられます。例えば、上空からデジカメで撮影した写真を地上の隊員に送ることによって、地上からでは直接見ることのできない周辺状況を参照できるようになるため、救援活動をより安全かつ効率的に行えるようになる可能性が考えられます。今回の実験により、このような使い方が十分可能であることが確認できました。
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