WEATHER-Eye(気象影響防御)技術

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2020年4月7日

雪氷モニタリングセンサーの実用化に向けた試験

図1 可視光による計測例:しまり雪、厚さ50mm

2020年2月上旬から下旬にかけて、北海道の北見工業大学で雪氷モニタリングセンサーの実証試験を行いました。
雪氷モニタリングセンサーは、滑走路上の積雪状態を検知するシステムで、積雪にレーザー光を照射しその散乱光を計測することで、積雪量や雪質を検知します。JAXAでは、雪氷モニタリングセンサーの実用化を目指し研究を進め、性能の向上や実証試験を繰り返し行い、空港などの要望を十分に満足する試作機を開発しました。

気象影響防御技術(WEATHER-Eye)の取り組み概要についてはこちらをご参照ください。

今回の実証試験では、GLASS3およびGLASS4と呼ぶ、2種類の試作機の機能確認を同時に行いました。GLASS3は、2018年に開発した埋没式雪氷センサーで、分光器や偏光板などを装着しさまざまな計測を行うことが可能なモデルです。一方、2019年に開発したGLASS4は、「小型化して欲しい」という現場からの声を反映し、小型化に主眼を置いて試作されたモデルです。GLASS3を埋設状態、GLASS4を地上設置状態で屋外に配置し、積雪の状態を計測、そのデータを機械学習させ計測精度の確認を行いました。
その結果、小型化したGLASS4も十分な精度で計測できることを確認しました。下に、計測結果の一部を抜粋します(図5)。

今回の試験結果を受け、2020年度にはさらに性能を向上させ、埋設工事のしやすさやケーブルの取り回しなどにも留意した設計の小型試作機(GLASS5)を開発し、地方空港において実用化された場合と同じ状況での実証実験を計画しています。

図2 計測の様子。GLASS3(奥)とGLASS4(手前)

図3 GLASS3(夜間撮影)

図4 GLASS4(夜間撮影)

図5 近赤外線による計測結果。雪質によって散乱パターンが異なることが分かる