WEATHER-Eye(気象影響防御)技術

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2025年4月2日

鹿児島県桜島周辺で飛行中の火山灰遠隔検知に成功

火山灰は航空機にとって大変危険な存在です。 ジェットエンジンが火山灰を吸い込むと停止してしまう可能性があるため、火山灰の拡散が予想される空域は避けて飛ぶ必要があります。
今回は火山灰の拡散が予想されていない桜島周辺空域をJAXAの実験用ヘリコプタで飛行し、遠方の桜島火口付近に存在する微量の火山灰を検知することに成功しました。

使用した装置は、偏光ライダーというもので、大気中にレーザ光を放射して大気に浮遊する物体による散乱光を受信することにより、その物体が火山灰であるか、氷晶であるか、水滴であるかなどを判別するとともに、その質量濃度を計測します。

地上で機能確認中の偏光ライダー

観測飛行は鹿児島空港をベースに桜島周辺で行われました。実験用ヘリコプタには偏光ライダーと大気を調べる様々な種類の計測装置を搭載して、偏光ライダーの較正や評価を行います。

実験用ヘリコプタへの機器搭載

約2時間の観測飛行を7回実施して、そのうち少なくとも1回は遠方からの火山灰検知に成功しました。飛行中の火山灰事前検知は世界初です。 取得したデータは、現在解析中ですが、約9km先の火山灰を検知することができたことが既に判明しています。 今後は、氷晶など他の物質も検知することができるかどうか検証する予定です。


実験ヘリコプタによる大気浮遊物質検知ライダーの飛行試験