小型無人機の自動化技術研究に関する設計データの収集を行いました

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2020年2月7日

小型無人機の自動化技術研究に関する設計データの収集を行いました

航空技術部門と第一宇宙技術部門が連携して飛行試験を行った

2019年11月、北海道にあるJAXA大樹航空宇宙実験場において、小型無人機の自動飛行・ミッション性能向上技術研究のための設計データの収集を行う飛行試験を実施しました。

近年、画像撮影や橋梁の検査などに小型無人航空機が利用され始めています。現在はマルチコプター型のドローンが主に利用されていますが、JAXAでは、今後さらに小型無人航空機の利用を広め、人々の生活に利便性をもたらすことを目指した研究を行っています。マルチコプタ−に比べてより高速で長時間の飛行が可能な固定翼型の小型無人機に着目し、これらの自動化レベルやミッションの性能を向上する技術を研究開発しています。

今回の飛行試験では、これらの研究開発の基礎となるデータの収集と評価を行いました。自動離着陸飛行のための搭載センサのデータや、飛行の自動判断の情報源として用いる気象情報サーバとの接続評価、これらの演算を行う搭載計算機(アップグレード版)の評価などを行いました。また、ミッション性能向上技術の研究開発のために、長距離飛行でのデータ通信への利用が期待される携帯電話回線によるコマンド通信機能の確認や、先進搭載観測装置の評価を行いました。

今回は、JAXAの第一宇宙技術部門が温暖化ガス観測衛星(GOSAT)「いぶき」の技術をもとにして開発した、小型分光観測器を搭載し、低空/近接飛行による大気中のNO2(二酸化窒素)濃度計測法に関するデータを取得しました。これらは、将来の小型無人機のさまざまな活用を検討するためのデータとなります。

今回の試験で取得したデータをもとに、自動化レベル向上やミッション性能向上技術の詳細設計や研究開発を進め、来年度はこれらの新機能を機体に搭載した飛行試験評価を開始する計画です。このような飛行試験を積み重ねながら、社会に役立つ小型無人機の機能向上や社会実装を目指して研究を進めます。

※GOSAT衛星搭載センサーを応用した小型センサー

試験で使用した小型無人航空機。胴体下面に小型分光器を取り付けた


小型無人航空機による飛行試験の様子はこちらでご覧いただけます。
(動画:2分16秒)

関連リンク

温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)は、地球温暖化の原因と言われている二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスを宇宙から測定し、地球温暖化や気候変動の科学的な理解を深めて、温暖化対策に貢献することを目的にしています。詳しくは下記のページをご覧ください。
温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)