空旅のユニバーサルデザインに関する研究開発
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- 2024年9月24日
- ユニバーサルデザインの空旅を実現する62のソリューション
“ユニバーサルデザインの空旅”を実現する30のソリューションを提案
バリアフリー社会の実現には過去より不断の努力が続けられてきましたが、近年ではダイバーシティやインクルージョンという価値観も広がりを見せており、障害者や高齢者を含む、多様な人々が生きやすい社会を実現しようという流れが加速しています。
提案するのは航空輸送に関する設備とシステムのソリューションが中心であり、いずれもまだ詳細の設計は決まっていない、コンセプト段階のものになります。本提案を起点として、JAXAを含む社会全体で“ユニバーサルデザインの空旅”の実現を推進していくことを目指します。
提案する30のソリューション
- No.01 持ち込み機器についてのデータベース構築
- No.02 エアライン共通で使用できる、スペシャルアシスタンスに関するインフォメーションカード
- No.03 ベビーカーの自動手荷物預け入れ
- No.04 車椅子に乗ったまま通過できる保安検査装置
- No.05 対話型デジタルコンパニオンによる案内
- No.06 空港内の誘導支援ロボット
- No.07 窓側席まで移動しやすい介助動作
- No.08 昇降式の手荷物収納棚
- No.09 中身が見える手荷物収納棚
- No.10 手荷物収納棚がラッチされたことを示すインジケーター
- No.11 その場で立てる座席
- No.12 座面をチルトできる座席
- No.13 色のコントラストや触感の違いを付けた座席周り設備
- No.14 視覚的に区別しやすい座席のシートポケット
- No.15 エコノミークラス座席のアップライトポジションを示すインジケーター
- No.16 シートベルトバックルがラッチされたことを示すインジケーター
- No.17 機内サービスオーダーができるIFEシステム
- No.18 フライトのタイムスケジュールを表示するIFEシステム
- No.19 個人端末で操作できるIFEシステム
- No.20 可動式/着脱式のIFEモニター
- No.21 機内臨時アナウンスの字幕表示
- No.22 機能性の高い紙コップのリッド
- No.23 握りやすい取っ手付きの紙コップスリーブ
- No.24 片手でも食事ができるテーブルウェア
- No.25 視覚障害者用のテーブルウェア
- No.26 フライト中に利用できる多目的スペース
- No.27 フライト体験アトラクション
- No.28 中身を取り出しやすいスチームオーブン
- No.29 操作しやすく静音のギャレーコンパートメントのラッチ
- No.30 着陸時の衝撃が軽減される客室乗務員用座席
■ ユニバーサルデザインの空旅を実現する30のソリューション(PDF版)
取り組みの背景
バリアフリーな社会、インクルーシブな社会の実現には過去より不断の努力が続けられています。しかし航空輸送においては、機内空間の狭さや特殊な環境のために、今もなお、利用者に肉体的、精神的な我慢を強いています。これを改善するには、飛行機利用に関する設備やシステムを抜本的に変えていくことが求められます。
しかしながら、障害者、高齢者、乳幼児、そして客室乗務員も含む飛行機を利用する全ての人々が、航空券予約から搭乗、降機、空港を出るまでの全ての場面で負担なく快適に飛行機を利用できるには、具体的にどのような設備やシステムがあればよいのか、網羅的、体系的に示したものはこれまでありませんでした。
そこで、JAXAはユニバーサルデザインの空旅に関して、包括的な検討を開始しました。JAXAはまずアンケートやヒアリングによって、障害者を中心に飛行機利用者の困りごとを調査しました。続いてその困りごとを解決する設備やシステムのアイディアを出し、アイディアの実現性について技術、安全、運用の観点から検討を重ね、具体的かつ効果的なソリューションとしてまとめました。
なおJAXAは並行して国内の航空機内装品サプライヤーと連携し、ユニバーサルデザインのラバトリー、ギャレー、座席、客室デザインの検討に取り組んでいます。提案する30のソリューションは、連携パートナーと共同で検討しているソリューションを除いたものとなります。