空旅のユニバーサルデザインに関する研究開発

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2025年11月11日

客室乗務員に寄り添った、ウェルビーイングを高めるギャレーコンセプトの提案

JAXAと株式会社ジャムコは、客室乗務員にとって働きがいのある職場環境の実現に貢献する、新しいギャレー(厨房設備)のコンセプトを提案します。

提案するコンセプト「Cabin Crew Centered “C”-Galley」(Cギャレー)は、ギャレースペースにカウンターのあるギャレーです。カウンターによりギャレースペースが仕切られることで、食事やドリンクの準備といったそれぞれの担当者の作業ゾーンを分けることが可能になり、結果として、客室乗務員の動線が錯綜せず、快適な作業体験を実現します。

加えて、作業を快適にする広いカウンタースペース、クローズドな空間を形成する昇降式収納、使いやすい蛇口とシンク、分別を前提とした複数のゴミ箱といった機能を備え、客室乗務員の使い勝手が向上するギャレーとなっています。

また、航空会社の収益性の観点から、機内スペースを犠牲にすることがないよう、ギャレーの面積は既存製品と同等となるように工夫されており、実現可能性の高い提案となっています。


Cギャレーは客室の最後尾に設置される、カウンターのあるギャレーです。見通しが良く、窮屈さを感じさせません。(画像提供: 株式会社ジャムコ)

Cギャレーは客室の最後尾に設置される、カウンターのあるギャレーです。見通しが良く、窮屈さを感じさせません。(画像提供: 株式会社ジャムコ)

食事準備担当、ドリンク準備担当、客室担当(配膳担当)、機内販売担当の作業ゾーンが分かれており、動線が錯綜することなく、それぞれの作業に集中することができます。インサート(スチームオーブン等の機器)も、それぞれの担当者が使いやすい場所に配置されています。(画像提供: 株式会社ジャムコ)

食事準備担当、ドリンク準備担当、客室担当(配膳担当)、機内販売担当の作業ゾーンが分かれており、動線が錯綜することなく、それぞれの作業に集中することができます。インサート(スチームオーブン等の機器)も、それぞれの担当者が使いやすい場所に配置されています。(画像提供: 株式会社ジャムコ)

カウンタースペースは広く、食事やドリンクの準備の際に作業台として使用できます。カウンターの下にはミールカートが収納されており、両方向から取り出すことが可能です。これにより、食事準備担当から客室担当にスムーズなカートの受け渡しが可能です。(画像提供: 株式会社ジャムコ)

カウンタースペースは広く、食事やドリンクの準備の際に作業台として使用できます。カウンターの下にはミールカートが収納されており、両方向から取り出すことが可能です。これにより、食事準備担当から客室担当にスムーズなカートの受け渡しが可能です。(画像提供: 株式会社ジャムコ)

カウンターの上部には昇降式収納が設置されています。収納を下ろすことで、内側はクローズドな空間となり、客室乗務員が業務に集中したり、リラックスして過ごしたりすることができます。一方、外側には乗客サービスとしてスナックバーを設けることも可能です。(画像提供: 株式会社ジャムコ)

カウンターの上部には昇降式収納が設置されています。収納を下ろすことで、内側はクローズドな空間となり、客室乗務員が業務に集中したり、リラックスして過ごしたりすることができます。一方、外側には乗客サービスとしてスナックバーを設けることも可能です。(画像提供: 株式会社ジャムコ)

ポットを置きやすい高さのある蛇口、ドリンクを廃棄しやすい深いシンク、ゴミの分別を考慮した複数のゴミ箱、引き出し式のテーブル、業務支援のためのモニター等、客室乗務員の使いやすさを高めるアイディアを盛り込んでいます。(画像提供: 株式会社ジャムコ)

ポットを置きやすい高さのある蛇口、ドリンクを廃棄しやすい深いシンク、高さのあるドリンク冷却コンパートメント、ゴミの分別を考慮した複数のゴミ箱、引き出し式のテーブル、業務支援のためのモニター等、客室乗務員の使いやすさを高めるアイディアを盛り込んでいます。(画像提供: 株式会社ジャムコ)

取り組みの背景

航空業界の継続的な発展によって、世界的に客室乗務員の需要増加が見込まれています。人材の継続的な確保のためには、客室乗務員にとって魅力的な職場環境を提供することが重要です。多くの客室乗務員は情熱を持ってキャリアを開始しており、仕事に喜びと充実感を求めています。複数回にわたる客室乗務員へのヒアリングから、「提供したサービスによってお客様に喜ばれること」に特に大きなやりがいを感じていることが明らかになりました。

一方で、ギャレーは客室乗務員の業務の中心的な設備ですが、従来の設計では収納性をはじめとする様々な制約の中で客室乗務員の作業性を十分に配慮することは困難でした。結果として、狭いスペースで複数の客室乗務員が錯綜しながら作業を行う様子が散見されています。

そこで本コンセプトは、これからの航空業界の動向を踏まえて新たな価値観への適合を念頭に置いた、従来の収納性を維持しつつ、客室乗務員の作業性中心でデザインしたギャレーとなっており、各機能についても客室乗務員へのヒアリングから得られた意見をもとに検討されました。 ギャレー作業を快適かつ効率的に行えることで、ギャレー内で作業する客室乗務員の働きやすさに貢献します。 それだけでなく、効率化により生じる時間的および精神的な余裕は、乗客に対して質の高いサービスを提供する機会を増やすことができます。これにより、客室乗務員にとって、よりやりがいを感じられる、ウェルビーイングの高い職場環境の実現が期待されます。

2025年11月11日更新