推進技術の研究

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2016年12月14日

防衛装備庁F7-10エンジンの導入について

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下、「JAXA」)は、「F7-10エンジン(以下、「F7エンジン」)」について、防衛装備庁と株式会社IHI(以下、「IHI」)との間でJAXAへの販売に向けた民間転用契約が締結されたことを受け、F7エンジンの導入に向けた準備を開始します。

JAXAにF7エンジンを導入することにより、JAXAや産業界がこれまで培ってきた世界トップレベルのエンジン技術の研究開発成果を実エンジン環境下で実証することが可能になります。日本/JAXAの独自技術をエンジンシステムとして実証し、国際競争力を強化する環境を整備することで、製造事業から整備事業まで広く国内航空産業の発展に大きく貢献できると考えています。

今後IHIとの間でF7エンジン導入に向けた調整を開始し、国内航空産業にいっそうの貢献ができる環境を一日も早く整備できるように取り組んでいきます。

○防衛装備庁プレスリリース
https://www.mod.go.jp/atla/pinup/pinup281214.pdf

○株式会社IHIプレスリリース
https://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2016/aeroengine_space_defense/2016-12-14/index.html

○F7エンジンの概要
F7エンジンはP-1固定翼哨戒機用に防衛装備庁(旧 防衛省技術研究本部)によって開発され、IHIによって設計・製造されている純国産ターボファンエンジンです。推力約6トンの高バイパス比エンジンで、低燃費・低騒音を実現しています。

○F7エンジン民間転用の背景
次世代航空科学技術タスクフォース(文部科学省)が平成26年8月にまとめた「戦略的次世代航空機研究開発ビジョン」において、エンジンの技術開発に使用される主要な施設の中で民生用の技術実証用エンジンが整備された施設は国内になく、今後の国内航空産業の発展のためには、革新技術を実証できる環境として技術実証用エンジンをJAXAにおいて整備することが必要とされました。エンジン開発のノウハウ・技術情報獲得のためには、開発が日本で行われた最新の純国産かつ高バイパス比のエンジンが最適とされ、それに該当するエンジンは防衛省向けのF7エンジンのみであったことから、JAXA及び関係省庁が連携して調整を行い、今回の民間転用となりました。
「戦略的次世代航空機研究開発ビジョン」
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11293659/www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/004/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2015/01/23/1338433_3.pdf

○JAXAにF7エンジンが導入されることにより期待される効果
1.システムレベルの実証が可能になることから、国際共同開発における地位の一層の向上が期待できる。すなわち、日本が要素からシステムレベルまでの技術情報を獲得することで、国際共同開発に対等な立場で参画できるようになる。
2.エンジン要素改良によるシステム性能予測が可能になるとともに、運用データを蓄積することで、要素技術のみならず新規エンジンの開発に必要なシステム全体の知見を獲得できる。

○JAXAにおける推進技術研究
aFJR(高効率軽量ファン・タービン技術実証)プロジェクト
https://www.aero.jaxa.jp/research/ecat/afjr/
コアエンジン技術実証(En-Core)プロジェクト
https://www.aero.jaxa.jp/research/ecat/encore/
その他の推進技術研究
https://www.aero.jaxa.jp/research/basic/propulsion/

≪JAXAに整備されているエンジン設備≫
地上エンジン運転試験設備、高空性能試験設備、回転要素試験設備、高温高圧燃焼試験設備、環状燃焼器試験設備、実エンジン環境材料試験設備汎用空気源設備、騒音試験設備
https://www.aero.jaxa.jp/facilities/aeroengine/