空旅のユニバーサルデザインに関する研究開発

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2026年6月12日

アンカーバー方式による航空機用車椅子固定デバイスの提案

JAXAと株式会社ジャムコ、トヨタ自動車株式会社は、車椅子利用者の円滑な航空機利用を実現するソリューションとして、アンカーバー方式による航空機用車椅子固定デバイスを提案します。

航空機用車椅子固定デバイスは、機内に設置される、車椅子を固定可能な台座構造物です。車椅子側にあらかじめ装着されたアンカーバーを、台座側のフックで押さえ込む方法により、簡単かつスピーディな車椅子固定を可能とします。これにより、車椅子利用者は搭乗から降機まで一貫して車椅子のまま過ごすことができるようになり、円滑で快適な航空機利用が実現されます。

JAXAと株式会社ジャムコ、トヨタ自動車株式会社は、アンカーバー方式による航空機用車椅子固定デバイスを設計するとともに、その試作品について航空安全のレギュレーションで要求される動荷重試験(構造強度試験)を実施し、耐荷することを確認しました。これにより、乗客の安全を確保できる航空機用車椅子固定デバイスが技術的に実現可能であると示すことができました。


(左)航空機用車椅子固定デバイス。車椅子を乗せる台座、台座中央に設置される車椅子固定のための2つのフック、台座後方に設置されるシートベルト取付金具から構成されます。デバイス自体は機体のシート取付用レールに固定されます。(右)航空機用車椅子固定デバイスに車椅子を乗せて固定した状態。

(左)車椅子側に装着するアンカーバー。自動車搭載用の介助用手動車椅子に対し、車椅子簡易固定システムガイドライン(発行:車椅子簡易固定標準化コンソーシアム)に基づいてアンカーバーを装着しました。(右)アンカーバーの固定の様子。フックは手動で上下に動かすことができ、フックの溝にアンカーバーをはめ込むことで固定されます。

動荷重試験(水平条件)の高速度カメラ撮影画像。レギュレーションに従って前面衝突を模擬し(加速度16G)、車椅子固定デバイスおよび人体ダミーに致命的なダメージが生じないことを確認しました。(画像提供:トヨタ自動車株式会社)

動荷重試験(垂直条件)の高速度カメラ撮影画像。レギュレーションに従って非常着陸時の突き上げを模擬し(加速度14G)、車椅子固定デバイスおよび人体ダミーに致命的なダメージが生じないことを確認しました。(画像提供:トヨタ自動車株式会社)

取り組みの背景

自分の車椅子に乗ったままで航空機を利用できるようになることは、以前より車椅子利用者から強く望まれてきました。これを実現することで、機内座席移乗時の身体的負担がなくなる、車椅子預け入れの手間が軽減される、自分の身体に合わせた座位保持を維持できる、車椅子の破損や紛失の心配がなくなる、と車椅子利用者の多くの困りごとを解消することが可能となります。現時点では、自分の車椅子に乗ったままで航空機を利用することはできませんが、米国を起点として、これを実現するためのルール作りが議論されています。

車椅子に乗ったままで航空機を利用する場合、安全の観点から、車椅子の固定は不可欠です。しかし、自身及び周囲の乗客の安全確保を考慮に入れた上で車椅子の固定設備をどのような形態にすればよいのか、まだ明確ではなく、世界的にも模索されている段階です。我々の提案する航空機用車椅子固定デバイスは、その問題に対する一つの回答となります。

JAXA、株式会社ジャムコ、トヨタ自動車株式会社は、航空機においても車椅子のままストレスフリーで自由な移動ができるようになることを目指して、引き続き研究開発を進めてまいります。

2026年6月12日更新