ソニックブーム

航空機が超音速で飛行すると、機体各部から衝撃波が発生します。これらの衝撃波は大気中を長い距離伝播するに従い統合し、地上では2つの急激な圧力変動を引き起こすN型の圧力波形となります。これが「ソニックブーム」で、人には瞬間的な爆音として聞こえます。

コンコルドは大きなソニックブームのために陸地上空を超音速で飛行することができず、海上のみに制限されていました。将来の超音速旅客機実現に向けて、ソニックブームの低減は大きな技術課題になっています。

現在、国際民間航空機関(ICAO)においてソニックブームの国際基準策定に向けた議論が行われています。JAXAは、D-SENDプロジェクトの成果やソニックブームシミュレータによる人の感じ方の評価試験結果を提供するなどして、国際基準策定に貢献しています。

ソニックブームシミュレータ

ソニックブームシミュレータは小さな箱型の部屋で、壁面に取り付けられた低周波(低音)用の大きなスピーカーを使って、シミュレータ内に実際のソニックブームと同じ音圧変化を再現します。

JAXAのソニックブームシミュレータでは、8個の大きな低周波用スピーカー(前面と背面に4個ずつ)と4個の小さな高周波用スピーカーにより、ソニックブーム模擬音を再生します。このシミュレータを用いてさまざまなソニックブームを被験者の方に聞いて評価をしていただき、ソニックブームの許容性を調査しています。


2024年7月11日更新