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宇宙航空研究開発機構

加藤 昂大

2017年4月入社
推進技術研究ユニット 燃焼技術セクション研究開発員

1988年生まれ。2011年3月東海大学工学部航空宇宙学科卒業。2014年3月東北大学大学院工学研究科博士前期課程を経て、2017年宇宙航空研究開発機構入社。大学では燃焼工学、特に高圧環境下での液体燃料微粒化、噴霧燃焼に関する研究に従事。入社後、航空機エンジン用リーンバーン燃焼技術に関する研究に従事。

―― 現在の研究内容について教えてください。

 ジェットエンジン用希薄燃焼(リーンバーン)方式燃焼器の研究開発を行っています。希薄燃焼方式は、燃費を向上させるとともに窒素酸化物(NOX)やススなどの環境汚染物質の排出量を減らせます。一方で燃焼振動と呼ばれる、圧力と炎が変動を強め合うように働く不安定な状態になりやすいというデメリットがあります。この燃焼振動状態にある火炎を対象にレーザーを用いた可視化試験などを通じて、安定燃焼させる手法の確立を目指し研究開発を行っています。

―― JAXAを選んだ理由は何ですか。

 JAXAであれば、メーカーを支援して国産ジェットエンジンの開発を促すことができるからです。学生時代に将来の宇宙往還機用エンジンの着火やジェットエンジンの燃料噴霧、燃焼に関する研究を行ってきたこともあって「いつか日本企業が主導で民間機用エンジン全体の開発を手掛けられるようにしたい」と考えていました。今日のエンジン開発は、海外企業主導のもとに日本企業を含め世界の複数企業が、共同で一つのエンジンを作り上げています。日本企業が主導で国際競争の場で選ばれ るエンジンを作るには、システムインテグレーションする技術に加え、これまでにない先進的技術といった日本独自の強みが必要です。10年、20年先において日本独自の強みがある先進的技術を自ら創造して、国産エンジンの開発を支えることができるJAXAを選んだという感じですね。

―― 実際に入社して感じたこと、以前と変わったことはありますか。

 大学とはスケールが異なる要素試験から完成品での実証試験までできる環境があることに驚きました。エンジン設備だけでも、環状燃焼試験設備、高空性能試験設備、今後導入されるF7-10エンジンなどがあります。これらの設備がある強みを活かして、日本独自のエンジン技術を生み出せればと思います。変わった点を挙げるとすれば、JAXAの役割や使命を意識し、社会に還元されるところまでを考えた明確な出口を設定して研究成果を出そうという姿勢になったことです。明確な出口設定のために、将来ニーズの調査に加え、JAXAとして実施すべき研究の取捨選択、研究成果から生まれる技術、実現時のインパクトを時間軸に沿って考慮し、研究開発に取り組む点は入社して変わったところだなと思います。

─―将来どのような研究をしてみたいですか。

 いろいろな新しいことをしたい野望がありますが、誰も見たことがない将来の航空機エンジンを作ってみたいですね。そのようなエンジンでは、従来とは全く異なるコンセプトの燃焼方式や燃焼器形状になるはずなので、燃費や環境性能などの基準を満足する新しいからくりを考えて、研究開発を行いたいです。
 具体的ではないですが、研究を通して世の中のちょっとした仕組みを変えてみたいと思うところもあります。例えば、極超音速旅客機の実現によって世界中どこへでも短時間で行けるようになれば、ビジネスや観光のかたちが変わり、新しい市場を生み出せるかもしれません。考えるとワクワクしますが、そのような世の中のちょっとした仕組みを変えることができる研究開発を行っていきたいです。

―― 航空分野を目指す後輩たちへのメッセージをお願いします。

 JAXAの航空技術部門はとても面白いところです。航空産業は市場規模の成長が見込まれる背景もあって、求められる技術や研究は国際競争に勝てるものや新規性があるものです。国際競争の場で優位性や新規性が認められる内容であれば、自分が興味を持った研究を実施させてもらえる環境は魅力的です。航空機に乗り込めば、研究成果を目の当たりにできることもモチベーションになります。
 JAXAに入りたいと思ったら、途中で諦めることなく、チャレンジしてほしいと思います。

高温高圧燃焼試験設備の前で


このインタビューは、JAXA航空部門広報誌「FLIGHT PATH No.20
からの転載です。所属・肩書などは取材当時のものです。
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