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宇宙航空研究開発機構

防災・小型機運航技術-「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」-

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2016年5月16日

D-NETを用いた熊本地震における技術支援について

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成28年熊本地震におけるヘリコプターによる救援活動に対して、「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」の技術を用いた支援を行いました。

総務省消防庁では、消防防災ヘリコプターのより効果的な運用のため、D-NETの技術をナビコムアビエーション株式会社に移転して実用化した「集中管理型消防防災ヘリコプター動態管理システム(以下、「動態管理システム」という)」が運用されています。
全国に配備されている消防防災ヘリコプター全76機がこの動態管理システムに対応可能となるよう導入が進められているところで、現在56機が対応可能な状態になっています。

一方、ドクターヘリの分野では、株式会社ウェザーニューズが開発した「FOSTER-copilot」と「FOSTER-GA」を用いて動態管理を行うシステムが普及しています。

JAXAは、熊本地震における救援活動において、以下の支援を行いました。
  1. 救援活動に従事する消防防災ヘリコプターの中で、動態管理システムに対応していない機体を対応可能にすること
  2. 熊本県庁に設置された災害対策本部で、D-NETの地上端末を利用可能にすること
  3. D-NETの地上端末でドクターヘリの運用状況もモニター可能とすることで、災害派遣医療チーム(DMAT)がより迅速な救急医療活動を行えるようにすること

JAXAは、今回の支援をとおして得られた効果や今後の課題について、関係機関とともに検討し、より良い技術の開発につなげていきます。

 

関連リンク

 

支援内容

1. 消防防災ヘリコプターへのD-NET機上機器の設置

これまでJAXAが開発したD-NETの機上機器である「搭載型機上システム」は、機体への搭載工事が必要なものでした。このため、事前に準備された機体しかD-NETに対応することができませんでした。平成28年3月に、搭載工事が不要な「完全持込型機上システム」を開発しました。これによって、災害等が発生した場合に、より迅速な対応が可能になりました。ただし、機能や操作性などの面では「搭載型機上システム」の方が優れているため、今後も、目的に応じて、両方のシステムが普及していくことを期待しています。
 

搭載型機上システム

完全持込型機上システム

 

熊本地震で運用された消防防災ヘリコプターのうち、動態管理システムを搭載していない機体に、この「完全持込型機上システム」を設置することによって、全ての機体が動態管理システムに対応することが可能になりました。

 
「完全持込型機上システム」の設置状況


2. 災害対策本部でのD-NET地上端末の設置

熊本県庁に設置された災害対策本部で、消防防災ヘリコプターの運用状況をリアルタイムで把握することができるよう、D-NETの地上端末を設置しました。

  
災害対策本部内に設置したD-NET地上端末と表示画面の例

 

3. 消防防災ヘリコプターとドクターヘリの情報共有

消防防災ヘリコプターとドクターヘリは、それぞれ異なったシステムで動態管理が行われています。 消防防災ヘリコプターの動態管理システムは、以下のような機能を有しています。
 
1)ヘリコプター位置確認機能
地上端末で追尾したい機体を選択すると、その機体の位置が画面の中心に表示されます。
2)メッセージ送受信機能
地上端末と機上端末の間で、テキストメッセージを送受信することができます。
3)検索機能
機上端末で住所や離着陸場など、検索条件を選択して地上情報を表示することができます。
4)軌跡表示機能
地上端末で機体や期間を選択して過去の飛行軌跡を表示することができます。
5)ルート送信機能
地上端末で機体を選択して目的地までのルートを送信することができます。
6)線・面情報送受信機能
地上端末と機上端末の間で、線・面情報(例えば災害発生場所など)を送受信することができます。
7)整備期間表示機能
全国の消防防災ヘリコプターの整備期間(点検や耐空検査など)を統合表示することができます。


一方、「FOSTER-copilot」は、機能を絞り込むことによって、非常に小型・軽量化されています。
消防防災ヘリコプターは、全て中・大型ヘリコプター(T類)であるのに対して、ドクターヘリは小型ヘリコプター(N類)も多く用いられていることと、ドクターヘリの機内には多くの医療機器が搭載されているため、他の機器を搭載するスペースが限られるため、「FOSTER-copilot」が普及しています。(一部のドクターヘリにはD-NETの機上機器が搭載されています。)

大規模災害時には、消防防災ヘリコプターとドクターヘリが連携して多数の傷病者を搬送し、DMATが救急医療を行うため、両方のヘリコプターの運用状況を一元的に把握することができれば、より迅速かつ効果的な救急医療を行うことが可能になります。

熊本地震では、消防庁、自治体、DMAT、ドクターヘリ運航会社、ウェザーニューズ社、ナビコムアビエーション社等との協力により、D-NETの地上端末で両方のヘリコプターの運用状況を把握できる環境を構築しました。


消防防災ヘリコプターとドクターヘリの情報共有



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