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宇宙航空研究開発機構

[開催報告] JAXA航空シンポジウム2018
-社会につなぐ「確かな技術」未来へつなぐ「驚きの創造」-

2018年10月3日、御茶ノ水ソラシティにおいて「JAXA航空シンポジウム2018 -社会につなぐ「確かな技術」未来へつなぐ「驚きの創造」-」を開催しました。会場へお越しいただいた多くの皆さまや、ライブ配信をご覧いただいた皆さまに、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。

今回のシンポジウムでは「確かな技術」と「驚きの創造」を中心テーマに設定し、第4期中長期計画におけるJAXA航空技術部門の事業方針である「研究開発成果の社会実装を確実に進めると同時に、“驚き”を含む将来技術の仕込みを強化する」ことに関連する主要な活動を、講演で紹介しました。
(当日のプログラムは、こちらからご覧いただけます。)

特別講演ではボーイング社バイス・プレジデントのナビード・フセイン氏とエアバス社イノベーション・マネージャーのルシー・ラヴェロジャオナ氏にご登壇いただき、両社が取り組んでいる航空機分野での先端的な試みや将来ビジョン、JAXAとの連携協力や日本の航空産業分野への期待などをご紹介いただきました。また、ホールに隣接するテラスルームとロビーでは、最新の研究成果を発表する研究ポスター展示を行いました。

会場の様子

研究ポスター展示


開会挨拶、第3期中期計画を振り返って -JAXA航空の取り組み-

午前の部では、まず最初に佐野久 航空技術部門長(JAXA理事)が開会挨拶を行いました。続いて村上哲 事業推進部長が「第3期中期計画を振り返って -JAXA航空の取り組み-」と題した講演を行い、2013年度から5年間にわたる研究開発成果として、2015年4月に立ち上げた「次世代航空イノベーションハブ」や、FQUROH(機体騒音低減技術の飛行実証)プロジェクトD-SEND(低ソニックブーム設計概念実証)プロジェクト高速流体解析ソフト「FaSTAR」などを紹介しました。

佐野部門長

村上事業推進部長


aFJR(高効率軽量ファン・タービン技術実証)プロジェクトの成果概要

次に西澤敏雄 推進技術研究ユニット長が、「aFJR(高効率軽量ファン・タービン技術実証)プロジェクトの成果概要」を報告しました。このプロジェクトは、現在主流となっている「高バイパス比ジェットエンジン」のさらなる性能向上を、要素技術の開発・実証を通じ目指す取り組みです。目標を達成するため、技術コンセプトをそれぞれ搭載したファン・タービンを構成する供試体を設計製作し、既存試験設備で実証した過程を紹介しました。これら新素材・新設計の技術と実証データを、要素実証からシステム技術につなげ、実際の製品に活かしてもらいたいと、期待を語りました。

西澤 推進技術研究ユニット長


SafeAvioプロジェクト(晴天乱気流事故防止機体技術の実証)の成果概要

町田茂 航空システム研究ユニット ウエザーセイフティアビオニクス技術研究グループリーダは、「SafeAvioプロジェクト(晴天乱気流事故防止機体技術の実証)の成果概要」を報告しました。過去10年の国内の航空機事故の半数以上が乱気流を原因としていて、早急な安全対策が必要なことから、乱気流事故を半減するために必要な乱気流検知と情報提供の技術を小型航空機で実証したと経緯を説明しました。その上で、レーザーを用いた搭載型乱気流検知装置の小型軽量・高機能化の実現し、パイロットへの適切な情報提供技術の研究開発と実証を行ったと報告しました。さらにボーイング社が行うエコデモンストレーター・プログラム2018(ecoDemonstorator2018)へ参画したことも紹介しました。

町田 ウエザーセイフティアビオニクス技術研究グループリーダ


[ 特別講演 ]
Innovation for the Future of Aerospace

特別講演として、ボーイング社 航空力学テクノロジー担当バイス・プレジデントのナビード・フセイン氏に「Innovation for the Future of Aerospace(未来の航空宇宙へのイノベーション)」と題して語っていただきました。フセイン氏は、航空輸送の市場規模予測を紹介した上で、他社との協業を軸の一つに据えたボーイング社の研究開発方針に言及し、安全を最優先にしつつAIやIoT、ARなど新技術に目配りし、移動のための新たなエコシステム構築に取り組むと表明されました。またJAXAのSafeAvioプロジェクトが参画する、ボーイング社のエコデモンストレーター・プログラム2018について、FedEx社の機体に搭載されたレーダー機器や参加メンバーを写真で紹介し、謝意を示されました。

ボーイング社バイス・プレジデントのフセイン氏


第4期中長期計画の事業方針 -社会につなぐ「確かな技術」未来へつなぐ「驚きの創造」-

午後の部では、佐野久 航空技術部門長が「第4期中長期計画の事業方針-社会につなぐ「確かな技術」未来へつなぐ「驚きの創造」-」の題名で、今年度から始まった第4期中長期計画を概説しました。「社会からの要請に応える研究開発」「次世代を切り開く先進技術の研究開発」「航空産業の持続的発展につながる基盤技術の研究開発」の3本柱を、具体的なプロジェクト名を上げて紹介しました。

佐野部門長


En-Coreプリプロジェクト(コアエンジン技術実証)の計画概要

続いて山根敬 コアエンジン技術実証プリプロジェクトチーム長が「En-Coreプリプロジェクト(コアエンジン技術実証)の計画概要」と題し、ターボファンエンジンの心臓部である高圧圧縮機、燃焼器、高圧タービンを対象とした技術開発について紹介しました。「En-Core」は、NOx(窒素酸化物)やCO2(二酸化炭素)の排出量を減らす技術で競争力を強化するために準備中の新プロジェクトであると説明しました。このプリプロジェクトの2つの課題である「超低NOxリーンバーン燃焼器」と「高温高効率タービン」に取り組み、その成果を基に実用化支援を行っていく方針を示しました。

山根 コアエンジン技術実証プリプロジェクトチーム長


電動化による航空のイノベーション

西沢啓 エミッションフリー航空機技術チーム(次世代航空イノベーションハブ)ハブマネージャは「電動化による航空のイノベーション」との題名で講演を行いました。CO2削減に向けた社会的な要請や、電動航空機の国際動向と将来予測などを示した上で、JAXAが2012~15年に、多重化モータシステムによるエンジン故障時の推力喪失回避機能や、回生エアブレーキシステムによる降下率制御機能等を世界で初めて有人飛行実証したFEATHER事業の成果を紹介しました。また今年7月、将来のエミッションフリー航空機や旅客機電動化に向け、国内の航空関連企業の参画を得て始まった「航空機電動化(ECLAIR)コンソーシアム」と連携し、短中期的には小型機や装備品の電動化、長期的には旅客機の電動化へと展開していく方針を示しました。

西沢 エミッションフリー航空機技術チーム ハブマネージャ


[ 特別講演 ]
Airbus – Path to electrification

午後の特別講演では、エアバス社のイノベーション・マネージャーであるルシー・ラヴェロジャオナ氏に、「Airbus - Path to electrification(エアバスが描く電動化への道筋)」と題して講演していただきました。ラヴェロジャオナ氏は、社員の国籍が130を超える超多国籍企業であるエアバス社の概要と、同社が行ってきたイノベーションの歴史を解説しました。Skyways(ドローン配送)や、Vahana(可変翼を用いた一人乗り電動垂直離着陸機)の試作機、CityAitbus(都市内輸送用の電動垂直離着陸機)のコンセプト図、アウディ社と協力して行うPop.Up Next(車両着脱型の電動プロペラ)のコンセプトモデルなどが紹介されました。さらに同社とロールスロイス社、シーメンス社が共同で行うシリアルハイブリッド型電動旅客機の技術実証E-FAN Xの概要も示されました。

エアバス社イノベーション・マネージャーのラヴェロジャオナ氏



閉会挨拶

最後に吉田憲司 航空プログラムディレクタによる閉会挨拶で、JAXA航空シンポジウム2018は終了しました。

吉田航空プログラムディレクタ

講演資料

講演資料データをご覧いただけます。

ポスター展示

ポスター展示のデータをご覧いただけます。

2018年10月11日更新
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