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宇宙航空研究開発機構

FQUROH(機体騒音低減技術の飛行実証)プロジェクト

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空港周辺の騒音問題は、周辺の地域社会にとって重要な課題です。そのため国際民間航空機関(ICAO)では旅客機の空港周辺での騒音レベルに規制値を設け、今後もその規制は厳しくなっていきます。また空港によっては離着陸の時間を制限したり、エアライン(航空会社)が空港に支払う空港離発着料を騒音レベルで決める空港もあります。今後20年間で航空輸送量は約2.6倍になると予想されており、空港の離発着量はますます増え、より一層航空機に対する騒音対策が求められていくでしょう。
旅客機の主な騒音源であるジェットエンジンは、初期のエンジンに比べ大幅な低騒音化が図られているため、エンジンのパワーを要する離陸時の騒音レベルは新型エンジンを採用した機体ほど静かになっています。一方、着陸進入時はエンジンのパワーを絞っているため、エンジンから発する騒音よりも機体そのものから発する騒音を低減していく必要があります。
「機体騒音低減技術の飛行実証(FQUROH(フクロウ): Flight demonstration of QUiet technology to Reduce nOise from High-lift configurations)」では、我が国の航空機産業の国際競争力を高める差別化技術として、旅客機の機体騒音の主たる音源である高揚力装置(フラップやスラット)及び降着装置(脚)に対する実用的な騒音低減技術を開発し、実際の航空機に適用して飛行試験による実証を目指します。

機体騒音低減技術

JAXAでは、国内のメーカーや国内外の大学、NASA等と協力関係を結び、基盤となるCFD(計算流体力学)技術やCAA(計算空力音響学)技術、風洞試験技術を開発し、高揚力装置や降着装置から発生する騒音の発生メカニズムを解明するとともに、実際の機体に適用可能な騒音低減技術の研究を行ってきました。

フラップは主翼の後縁の一部、スラットは主翼の前縁の一部を離着陸時に稼働させることで、離着陸時の低速飛行の時にも十分な揚力を発生するための装置です。失速させずに高い揚力を発生させることができますが、フラップやスラットの周りの空気の流れが大きく乱れることにより風切り音が発生し、騒音となって聞こえます。
フラップにおいては、フラップの翼端(フラップ端)で強い空気の渦が発生し、騒音につながることがわかっています。そこで実際の航空機に適用できるような実用的なフラップ端形状デバイスを見いだし、騒音を低減する効果があることを風洞実験で確認しています。
スラットについては、スラットコブ(スラットの凹みの部分)で剥離流が発生し、騒音につながることが分かりました。凹みの形状を変更することで大幅に騒音を低減することは可能ですが、スラットを収納できなくなるので実用的ではありません。そこでスラットの下部(カスプ)をギザギザ(セレーション)にすることにより、発生する渦を細かく分断し、騒音を減らそうと考えています。
降着装置については、タイヤの間にホイール、ブレーキ、衝撃吸収構造、油圧配管などの非常に複雑な形状に気流が当たることで、騒音が発生します。フェアリング(カバー)で覆うことで騒音を低減することは可能ですが、ブレーキの冷却機能を損なわないよう、より実用的に、多数の穴の開いたフェアリングによる騒音低減技術を開発しています。

音源計測技術

風洞実験や数値解析では、丁寧に騒音発生メカニズムや低騒音技術の効果を調べることができますが、実際の旅客機の一部を模擬した分析になるため、その正しさを確認するには、飛行する航空機から発生する騒音を詳しく計測することが重要です。JAXAではこれまでフェーズドアレイと呼ばれる計測装置を地上に設置して、小型ジェット機にその上空を飛行させ、騒音源を計測する技術の開発を行ってきました。
今後、開発した騒音低減技術の効果を実証するためにも鍵となる計測技術になるため、より精度の高い計測法、データ処理法を確立していきます。

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