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宇宙航空研究開発機構

構造・複合材料技術

VPH成形技術で製作した供試体

複合材料は、異なる特性の材料を複合して1つの材料として使用しているもので、炭素繊維やSiC(炭化ケイ素)繊維などを用いて繊維強化した材料として使用することで、これまでの金属材料に比べ、軽量で高強度な構造を創出することが可能となり、航空機や宇宙機器の性能をより高くすることに貢献できます。
今後更に厳しくなる航空機の軽量化要求や環境基準、航空機安全性の確保に対応するためにも、複合材料が使われる比率はますます多くなっていくと思われます。このように複合材料は未来の私たちの生活に大きく貢献できる可能性がありますが、長年培われてきた金属材料の設計や製造、整備、リサイクルの能力と比較すると、まだ新しい材料である複合材料が普及していくための障壁があり、これらを明らかにして改良あるいは設計技術について研究し、経験を積んで技術を蓄積・公開していく必要があります。また、これから20年後の材料技術を見据えて、次世代の複合材料を創出していくことについても不断の研究が必要です。
JAXAは、国内で唯一、複合材料の研究開発に特化して整備された強度試験評価装置、物性評価装置、非破壊検査装置等を用いて、現在の複合材料の弱点克服や破壊メカニズム等、未知の部分を解明し、材料の性能向上や設計技術への応用を目指した研究をはじめ、航空機設計技術に必要な解析技術の研究、複合材料・構造に対する技術実証等を行い、我が国の航空宇宙産業へ貢献します。

複合材料創生・プロセス技術

ポリイミド複合材料のプロセス低コスト化技術

軽量、高耐熱かつ高強度なポリイミド/炭素繊維複合材料を実用化レベルに上げ、普及させていくため、従来に比べ約20%コストダウンする成形プロセス技術をプロジェクトやメーカーに提案できるレベルまで引き上げ、各種応用展開可能なベース技術として確立することを目指します

航空機エンジン用CMC

航空機エンジンの低圧タービンの構成材料を現在のNi基耐熱合金からCMC(セラミックス基複合材料)に置き換えることを目指した研究開発を行っています。さらに最も過酷環境に曝される高圧タービンおよび燃焼器部への適用が見込める1400℃級の長時間高温耐酸化性能を有する耐熱複合材料の成立も目指します。

耐高速衝撃性複合材料

高い柔軟体衝突耐性を持つ縫合CFRPに発生する損傷を予測できる数値解析技術を開発し、設計ツールとして使用可能にします。

ナノカーボン機能性複合材料

カーボンナノチューブ(CNT)とグラフェン(Graphene)の単体を用いて複合材料化するだけではなく、他の金属物質等とのハイブリッド化により、強化材特性を向上あるいは新しい特性を付与し、さまざまな分野に応用可能な多機能性複合材料の創製に関する研究を進めています。

先進複合材料適用技術

構造安全性向上技術

機体構造の安全性向上のため、「非破壊検査技術」「耐衝撃性評価技術」を確立します。さらに、これらの技術を実現することにより、より効率的で安全性の高い新しい機体構造コンセプトの創出や機体整備プログラムの変革を目指します。

複合材料継手技術

新しい継手様式を構想し、新様式に最適な材料の組み合わせを選定、高い強度と信頼性を実現する継手を探求します。さらに製造性・組立性・修理性やコストなどバランス良く解決する継手を追求します。

熱可塑性複合材料の成形品質に関する研究

成形中の熱可塑性複合材料の挙動を詳細に把握することに挑戦し、成形プロセス(圧力、温度)と成形品質(結晶化度、残留ひずみ、内部の繊維ずれ、板厚等)の相関性を明らかにします。

CFRPリサイクル技術

CFRPのリサイクル技術に関する基礎的な調査や検討を行い、高性能な炭素繊維が使用されている航空機構造から、再度CFRP部品に適用できることを目指した複合材料の創成に関する研究を進めています。

脱オートクレーブ複合材成形技術実証

CFRPの新しい成形法として、従来のオートクレーブ成形法より安価に製造できるVaRTM成形法やVPH成形法の研究・評価を行っています。

複合材料評価試験技術

複合材料試験標準化の推進

これまで培ってきた複合材料の評価方法の成果を産業界に利用していただくため、評価方法の標準化(JIS化、ISO化)を進めています。

複合材料データベース構築

我が国の航空宇宙産業の国際競争力強化の一助となるべく、これまでの複合材料技術研究の成果を先進複合材料力学特性データベース(JAXA-ACDB)として公開しています。

導電性複合材料が誘起するガルバニック腐食の研究

種々の軽量合金とCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の組み合わせで耐食性を評価することにより、CFRP製構造材を大量に用いた航空機の信頼性を確保するとともに、設計及び整備に関する指針を得ることを目指します。

極低温燃料タンク用複合材料

次世代ロケット、再使用型宇宙輸送システムや、水素燃料航空機の実用化に必要な、液体水素などの極低温液体推進剤タンクのCFRP化に向けた研究を行っています。

構造振動技術

空力弾性制御技術

空力弾性問題における空力、構造等の非線形特性を把握し、数値解析技術の精度向上を図りつつ、より忠実な制御対象モデル構築して空力弾性能動制御系を設計します。

ひずみと振動に関する革新計測技術

計測コストの削減や開発の効率化、航空会社から航空機運用時の整備効率化のための、ひずみのリモート計測技術を開発します。

柔軟構造物の時変系モデリング

柔軟構造システムの時変系・非線形系としてのシステム同定理論の構築を行い、大型展開構造物や可動展開構造物を持つ大型柔軟衛星の軌道上ダイナミクスを時変系として同定する手法を開発し、次世代の大型柔軟衛星開発に展開できる軌道上柔構造特性評価技術の確立を図ることを目的とします。

環境適合性を向上する構造対応制御技術

機能化構造技術

センシング技術、荷重制御(アクチュエーション含む)技術、可変構造設計技術、空力弾性制御技術などを組み合わせた機能化構造技術を確立します。これにより高アスペクト比翼を実現できるだけではなく、機体の飛行条件や気象環境に適応した最適な構造変形制御を可能とさせる「機能化」を実現することを目指します。

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