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宇宙航空研究開発機構

En-Core(コアエンジン技術実証)プロジェクト

ターボファンエンジンでファンが推力を生み出すための動力源であるコアエンジンのうち、特に燃焼器と高圧タービンはエンジンの中でも最も高温・高圧で、海外メーカーが強みを持つ部分です。国内メーカーはエンジンの低温・低圧部で一定の分担を獲得していますが、航空機エンジン産業におけるさらなる飛躍のためには、高圧部分の分担の獲得が期待されます。そこでJAXAでは、NOx(窒素酸化物)やCO2(二酸化炭素)の排出量を減らす新たな研究開発プロジェクトを開始し、国内メーカーと共同で競争力のある技術の獲得を目指します。略称のEn-Core(アン・コア)は、Environment(環境)を重視したコア(Core)エンジンを意図しています。

En-Coreは2018年度から2023年度までのプロジェクトで、「超低NOxリーンバーン燃焼器」と「高温高効率タービン」の2つの技術課題に取り組みます。いずれの課題でも、従来の耐熱金属よりも高温で使用できる耐熱複合材(セラミックス基複合材、CMC)を活用して使用する冷却空気を削減することが課題達成の鍵の一つです。

超低NOxリーンバーン燃焼器

航空機エンジンの燃焼器の多くには、リッチリーン(過濃希薄、RQL)燃焼方式が用いられています。RQL方式は、燃焼を安定させつつNOxの排出を削減する特徴があります。しかし、さらにNOxを減らすには限界が見えてきました。JAXAでは、RQL方式よりもNOxの発生を抑えることのできるリーンバーン(希薄予混合)燃焼方式の研究を進めてきました。En-Coreプロジェクトでは、世界で最もNOxの排出が少ない燃焼器性能の実証を目指します。そのために、CMCの耐熱性を生かして燃焼器の冷却空気を減らすことでリーンバーンに必要な空気量を増やすとともに、発生しやすくなる燃焼振動を抑制します。同時に燃料ノズルの熱対策や燃料制御など、実用化に必要な性能を確保します。

RQL方式 リーンバーン方式

高温高効率タービン

世界最高レベルのタービン効率の実証を目指します。現行の耐熱超合金よりも約200℃高い耐熱性を持つCMC材料や先進的な冷却構造による冷却空気の削減、三次元空力設計による損失低減を統合して、タービン効率の向上を実現します。

CMC静翼設計技術

現在使用されている耐熱金属材料よりも耐熱性の高いセラミック基複合材料(Ceramic Matrix Composites : CMC)を高圧タービンの静翼に使用することで、冷却空気による損失を減らします。

フィルム冷却技術

高圧タービンの翼周囲を流れる高温ガスと翼から噴き出す冷却空気が混合する領域で発生する損失を抑制します。

翼内部冷却技術

高圧タービン翼を冷却する技術として、冷却効果が高い内部冷却構造を採用することで、必要となる冷却空気の量を減らします。

3D損失低減空力設計技術

CFDなどの技術を活用し、翼の表面で発生する損失を減らす三次元設計技術の確立を目指します。


2020年1月24日更新
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