燃焼安定化技術

ガスタービン低エミッション燃焼器開発においては、燃焼振動抑制、逆火防止、吹き消え限界拡大、燃料器部品の焼損防止、着火・火移り性能向上、確実な高空再着火性能の担保等、複数の技術課題が挙げられます。中でも燃焼振動は、複数の要因が関連して起こる複雑な現象であるため対策が容易でなく、燃焼器開発の主要技術課題となっています。
従来から、レゾネーターの取り付けや吸音効果のあるライナー壁の利用等のダンピングデバイスによる対策、燃料の多段噴射とその流量配分制御による運用方法による対策が行われています。一方で、燃費向上のための高温高圧化トレンドや年々厳しさを増すNOx(窒素酸化物)排出規制は、燃焼振動が発生しやすい方向に働いており、従来の振動抑制手法に加えて、より根本的な燃焼振動抑制技術の開発が求められています。 燃焼振動の駆動源は、圧力変動と発熱変動との正の相互作用にあります。火炎構造を意図的に変形させることで、発熱変動強度を弱めたり、擾乱(じょうらん)に対する発熱の応答性をぼやかし、燃焼振動の駆動源を弱体化させる技術を開発中です。
既に、シングルセクタ燃焼器試験(7気圧)において、500Hz近傍の圧力変動ピーク値 0.5kPa以下まで低減できており、最終的には実際のジェットエンジンや発電用ガスタービンエンジンの燃焼器開発に開発した技術が利用されることが狙いです。

燃焼振動発生時の圧力変動スペクトルの例。このような振動の抑制が必要