空力弾性制御技術

航空機の高速化、軽量化において空力弾性(フラッター)問題の解決は必須ですが、これまでの民間航空機開発においては材料技術の発達が大きな成果をもたらしてきました。一方、将来の超音速旅客機や滞空型無人航空機等の開発においては、更に困難な空力弾性問題の解決が必要で、能動制御が有用な解決手段として考えられます。
超音速機の開発においてフラッター特性が最も悪化するのは主に遷音速領域ですが、このフラッター速度が低下する領域(遷音速ディップ)においては振幅の制限されたリミットサイクル振動(LCO)となることが知られています。LCOを能動制御により抑制すれば構造重量の大幅な低減が見込まれます。そのためにはLCO特性を正確に把握し、数値解析によって制御対象モデルを構築する技術の確立が必要です。

本研究では、空力弾性問題における空力、構造等の非線形特性を把握し、数値解析技術の精度向上を図りつつ、より忠実な制御対象モデル構築して空力弾性能動制御系を設計します。これにより航空機の利用領域の拡大を図り、経済的側面からもその成立性に寄与することを目指します。

空力弾性(フラッター)

航空機を製作する際、破壊に至るような異常振動=フラッターを起こさないようにしなければなりません。フラッターとは空気力、弾性力、慣性力が組み合わさって起こる現象で、機体を軽くしようと剛性を弱くしすぎると、ある速度以上で発生する可能性があります。
この現象を設計段階から予測して飛行機の安全性を確かめておく必要がありますが、これを理論的に予測するには、振れる翼の周りの空気力を正確に計算することが必要になります。