ポリイミド複合材料のプロセス低コスト化技術

航空宇宙分野で使用される軽量、高耐熱かつ高強度なポリイミド/炭素繊維複合材料の研究を進めています。従来のポリイミド複合材料は成形中に水が発生し、この水が成形体中の空隙発生の原因となるために成形性に課題がありました。この課題に対し、2005(平成17)年にJAXA独自の研究により、従来に比べポリイミド樹脂の溶解性を大幅に向上させ、成形中の水の発生をなくすことに成功しました。2008(平成20)年には、この発展型として、株式会社カネカとの共同研究により、更に耐熱性(軟化温度350~370℃)・靭性(硬化樹脂の平均破断伸び約11%)に優れたポリイミド樹脂「TriA-X」を開発しました。TriA-Xポリイミド樹脂単体の特性は素晴らしいのですが、炭素繊維複合材料として実用化に至るまでには課題も残っています。この成形性・耐熱性・機械的特性に優れたバランスを有する新しいポリイミド樹脂を用いた複合材料を実用化レベルに上げ、普及させていくため、従来に比べ約20%コストダウンする成形プロセス技術をプロジェクトやメーカーに提案できるレベルまで引き上げ、各種応用展開可能なベース技術として確立することを目指します。

JAXAが開発中のポリイミド複合材料の特性

ポリイミド複合材料の外観と断面