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宇宙航空研究開発機構

気象影響防御(WEATHER-Eye)技術

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2017年3月31日
雪氷モニタリングセンサーの実証試験を開始しました。
2016年12月、北見工業大学(北海道北見市)の構内において、JAXAを中心に研究開発を進める雪氷モニタリングセンサーを屋外の地面に埋め込み、センサーのガラス面に積もった雪の厚さや雪質を検知する実証試験を開始しました。雪氷モニタリングセンサーは……[続く]

航空機の運航は、気象に大きく影響を受けます。特に日本の冬は、世界的にみても航空機にとって厳しい環境であるといえます。例えば、機体への着氷雪は、航空機の運航、特に離陸時に大きく影響します。滑走路への積雪は、日本の雪が滑りやすい性質を持っていることに加え、短い滑走路で比較的大型の機体が運用されていることから、オーバーランの危険性が高くなります。また、冬に発生する雷(冬季雷)は、夏に起きる雷に比べてエネルギーが大きく、機体に被雷した際の損傷も大きくなります。
航空機は、着氷雪や被雷が発生しても一定の安全性は保てるように設計されていますが、運航効率を下げてもより安全な運航を行っていることも事実です。さらに、私たちの想定を超えるような気象状況になった場合に、重大な事故や不具合が発生する可能性もあります。
JAXAは、気象状況に対する機体の安全性を効率的に維持するため、機体・滑走路の状態や気象状況を検知し、予測・防御する気象影響防御技術(機体防着氷技術、雪氷滑走路技術、気象事前検知技術、対被雷技術、耐特殊気象エンジン技術)の開発を目指す「気象影響防御(WEATHER-Eye)技術」の研究開発を行っています。

運用イメージ

機体防着氷技術

機体、特に翼に氷が付着(着氷)すると、航空機の飛行性能が低下してしまうため、時として大事故につながってしまう場合があります。翼の着氷状態をモニタリングできるようになれば、パイロットは翼の着氷状況を把握できるようになり、離陸前であれば除氷等の対応が可能になります。
また、機体への着氷そのものを可能な限り防止するために、特殊なコーティング剤の開発にも取り組んでいます。

防氷コーティングのイメージ

雪氷滑走路技術

現在、積雪時における滑走路上のモニタリングは、除雪するかどうか判断するために行われる観測しか行われていません。また、オーバーランを防ぐために雪の摩擦を調べるためには、一旦空港を閉鎖し特殊な車両で調査を行っています。効率的な航空機運用を支援するためには、積雪の量や質などの状態を知る必要があります。積雪の状態を、リアルタイムでモニタリングすることで、航空機の安全な離着陸が可能かどうかを素早く判断できるようになります。
JAXAでは、産官学の共同研究により、雪氷の種類と深さ(分解能10mm)を計測する滑走路埋設型のセンサーの開発に取り組んでいます。

滑走路へのセンサー設置イメージ

気象事前検知技術

着氷しそうな気象状態や機体に被雷しそうな気象状態が事前に分かれば、航空機にとって驚異となる気象状態を回避して運航することが可能となり、航空機の安全性に寄与できるとともに、被雷による機体の損傷修理も少なくなるため、運航の効率向上につながります。そこで気象状態を事前に検知するための技術開発に取り組み始めています。

気象事前検知技術のシステムイメージ

対被雷技術

航空機の飛行経路上に雷雲があれば、進路を変えて被雷を避けることができます。しかし、離着陸時は雷雲が発生していたとしても避けることはできません。機体は、被雷しても大きな事故にならないよう設計されていますが、被雷したことによる損傷を修理には時間がかかります。特に、近年多用されている複合材料の部品に被雷した場合には、金属材料よりも長く修理期間が必要になります。そのため、被雷による機体の損傷をより少なくすることは、航空機を効率的に運用するための重要な課題となっています。
そこでJAXAでは、産官学連携で特殊な構造・材料により被雷による損傷を少なくするための技術開発を進めています。加えて、被雷損傷を検知するための技術にも取り組み始めています。

耐特殊気象エンジン技術

ジェットエンジンに火山灰が入り込むと、エロージョン(微粒子吸い込みによる摩耗・損傷の現象)によりファンやタービンを傷める可能性があります。また氷が付着することにより推力が低下したり喪失したりする可能性があります。
そこでJAXAでは、エンジンの耐エロージョン性・防氷性を向上させる技術の開発に取り組み始めています。

気象影響防御技術コンソーシアム(WEATHER-Eyeコンソーシアム)について

JAXAの次世代航空イノベーションハブでは、一つのテーマについて専門分野の垣根を越えて、研究機関やメーカー、大学などが一体となった研究開発を推進しています。JAXAとメーカー、あるいはJAXAと大学が一対一の契約を結んだ上で進めていく従来型の共同研究体制とは異なり、多分野の知見が集合されることで、これまでにない発想による技術を開発し、実用化までの時間を短縮することが期待されます。イノベーションハブの理念を具現化する方法の第一弾ともいうべき取り組みが、2016年1月15日に18機関で締結した「気象影響防御技術の研究開発に関する連携協定」に基づいて発足した「気象影響防御技術コンソーシアム(略称:WEATHER-Eyeコンソーシアム)」です。WEATHER-Eyeコンソーシアムにおいて、JAXAは研究開発を行うとともに連携・協力の拠点となる事務局を設置し、コンソーシアム全体の円滑な運営を図ります。

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